見て触れて知る『源氏物語』-『女君の扇』と装束体験

2018/12/19

第2回は、平安文学における装束がテーマです。貴族の褻(け)の衣服「狩衣(かりぎぬ)」「袿(うちき)」にスポットをあてた内容でした。

狩衣は貴族(男性)の略装で、身分を表す束帯のような正式な場で着用された衣服と違い、身分が特定されにくかったため、源氏物語や枕草子のなかでも旅の装束や忍びの恋をするときの服装として用いられたとのことです。袿は女性装束の基本形で、「重ね着」を可能にしたため、正装の「裳唐衣(もからぎぬ)」の下に何枚も重ねられ、「十二単」という言葉も生まれたそうです。

現代の皇族の儀式にも平安装束は受け継がれており、前回の即位の礼へのビデオを見ながらの解説もありました。受講者は来年に行われる新天皇の即位の礼に興味が増したようです。

後半は、財団の職員がモデルとなって着装の実演がありました。着る人は「お方」と呼ばれ、立つ向きは東か南、着せる人は正座でお辞儀をするところから始まり、古式ゆかしい作法で行われました。

最後に、希望された方は着る体験をし、貴族気分を楽しんでみえました。歴史好きの小学生や高校生の参加者もあり、間近で見る装束に目を輝かせていました。