中部大学連携市民講座「都市近郊に残された身近な自然~次世代に残し共に生きるために~」

2021/07/16


「身近な自然」は、驚くべきニュースによって知らされることがあります。最近では小牧市内でカモシカが出現したとか、この講座の数日前に起こった熱海の土石流の災害も大変なことでした。身近な自然で、今何が起きているか、なぜ起こっているのか、学んで考える講座を開催しました。

講師は、中部大学応用生物学部環境生物科学科の上野薫准教授です。

小牧・春日井地域は、山域と都市部の境界前線であり、都市域への生物多様性の供給源的役割を担っているとのこと。都市化がすすむと、自然の領域が狭まってしまう側面があります。

残っている自然も、放っておくだけだと「遷移」していってしまうという話には驚かされました。この地域には所々にある小規模な湿地にモウセンゴケなど世界の研究者から注目される貴重な植物が残っているのですが、保全を行わないとほかの植物が入って遷移が起こり、無くなってしまうのだそうです。

生物多様性は安全で豊かな生活に必須で、その重要な役割を担っている森林についても言及されました。森林面積は国土の67%、その4割は人工林です。間伐などの管理がされない人工林が増えることは、獣害(イノシシ)の発生する要因を作ったり、土砂災害を起こす原因になったりしている話を聞き、自然は自然のままではなく、人によって手を加え維持されることで私たちが恩恵を受けていることがわかりました。

最後に先生から、私たちに今できることとして、地域の集まりなど、小さなコミュニティから何か活動を始めてみてはと、アドバイスがありました。講義終了後も、先生と情報交換される方々がいて、今後に何かつながっていきそうです。