愛知文教大学連携市民講座 「江戸時代の観光ガイド『尾張名所図会』で小牧を旅する」第1回

2021/11/11

江戸時代の観光ガイドである『名所図会』において、小牧がどのように紹介されていたか、そして、現在はどうなっているのかを見ていこうと3回講座が今日からスタートしました。

『名所図会』というのは名所や旧跡など、絵画を交えて紹介された通俗地誌で、京都を題材にした『都名所図会』に始まり江戸・摂津・大和・河内など江戸時代に次々と刊行されました。そのなかで、『尾張名所図会』は、幕末の天保12年(1841)に原稿が完成。前編は天保15年(1844)に刊行されたものの、紆余曲折を経て、後編は明治13年(1880)、附録は昭和5年(1930)に刊行された木版刷りの和綴じ本です。原稿ができてから刊行までに90年近い年月が流れたことになります。

文章だけでなく、大きく描かれた挿絵からもその時代を読み解く手がかりがいっぱい混じっていることを教えていただきました。たとえば、熱田の魚市の絵には大人二人がかりで天秤棒に吊り下げたマグロが。また、大きな魚籠(びく)からはみ出したエイやタコが水揚げされているなど、絵の細部にまで細かく分析をしていくことで、より面白味を味わうことができました。

岩崎山の熊野社・観音堂・五枚岩のこと、三ツ渕の正眼寺青松、弁天池のことなどの記載や現地の写真を交えての解説はとても分かりやすいものでした。また、明治17年の地籍図と比較する中で、参道の幅を推測する手法などが紹介され、研究方法に触れることもできました。

正眼寺の池だった場所が、現在駐車場になっているものの、大雨の時の貯水槽になっていることを知り、池との関連を思い浮かべながら、楽しくお話を聞かせていただきました。次回も楽しみです。